言葉はいらない

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優が優しく都に言う。 「命を粗末にすることは 良いことだとは言えないけど、 命の重みを知った上で それでも刀を持って、 自分の信じた道を最後まで 曲げない覚悟は凄いと思う。」 「現代に生きる俺達も、 その志は見習うべきだな。」 冬馬も大きな声で続けた。 都は無言で頷く。 今まで静かに話を聞いた総司は ふっと笑みを見せた。 「そうですね。 だから春も、その志を 大事にしていけば良い。 否定なんてしなくて良いんです。 ……ありがとうございます。 私はまだまだあきらめませんよ」 総司の顔はさっぱりとして いつもの明るさが戻っていた。 3人ともホッと息をつく。 「あ!ねぇねぇ総司! 景気づけに、夜の京ってのを 見物してみたいんだけど!」 冬馬が満面笑顔で提案した。 「何言ってるんですか。 ここは平成の世じゃないんですよ 慣れぬ京の夜を 歩き回るのは危険です。」 総司は冷ややかに 冬馬の発言を却下した。 「ほんと、馬鹿じゃないの~?」 都が吹き出す。 「冬馬って本当に 空気読めないよね。」 優もケラケラと笑った。 「な、なんだよ~。皆して。」 冬馬はしょんぼりと 肩を落とした。
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