春色平成児誉美

4/38

4574人が本棚に入れています
本棚に追加
/500ページ
「春がいなくなったら 私は何度だって春を探すし 春が離れていきそうになったら 何度だって連れ戻しに行きます。 そういうもんでしょ?恋人って」 なんて嬉しいことを 総司は言ってくれるんだろう。 「総司ぃい~~~。」 春の瞳に水っぽいものが ウルウルと溜まっていく。 「相変わらず泣き虫ですねぇ。」 総司は歩みを止めて 春の涙を拭ってやる。 「あたしも、総司がっ いなくなったり、したらっ」 えぐえぐと春は話す。 「はいはい。 ちゃんと探して下さいよ?」 総司はにっこりと笑った。 春の家の近くまで来ると 春はそわそわし始める。 「?」 そんな春を総司は 不思議そうに眺めていた。 「あっあの!」 春は顔を真っ赤にして 総司を見上げる。 「はい?」 「っ~~~~!!こっち!」 春は総司の手首を掴むと 家に続く道から逸れて 狭い路地に入った。 「どうしたんですか? もう家はすぐそこなのに……。」 春はモゾモゾと足の指を動かして うつむいてしまっている。 そこで総司はピンと来た。 「そうですね。 久しぶりのキスくらい してから帰りましょうか。」 「っ!!」 春はいよいよ顔を赤くした。 「ずるいなぁ。春は。 自分から言えばいいのに。」 春の頬にそっと手を添えると 総司は顔を近づけていく。
/500ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4574人が本棚に入れています
本棚に追加