4574人が本棚に入れています
本棚に追加
/500ページ
「春がいなくなったら
私は何度だって春を探すし
春が離れていきそうになったら
何度だって連れ戻しに行きます。
そういうもんでしょ?恋人って」
なんて嬉しいことを
総司は言ってくれるんだろう。
「総司ぃい~~~。」
春の瞳に水っぽいものが
ウルウルと溜まっていく。
「相変わらず泣き虫ですねぇ。」
総司は歩みを止めて
春の涙を拭ってやる。
「あたしも、総司がっ
いなくなったり、したらっ」
えぐえぐと春は話す。
「はいはい。
ちゃんと探して下さいよ?」
総司はにっこりと笑った。
春の家の近くまで来ると
春はそわそわし始める。
「?」
そんな春を総司は
不思議そうに眺めていた。
「あっあの!」
春は顔を真っ赤にして
総司を見上げる。
「はい?」
「っ~~~~!!こっち!」
春は総司の手首を掴むと
家に続く道から逸れて
狭い路地に入った。
「どうしたんですか?
もう家はすぐそこなのに……。」
春はモゾモゾと足の指を動かして
うつむいてしまっている。
そこで総司はピンと来た。
「そうですね。
久しぶりのキスくらい
してから帰りましょうか。」
「っ!!」
春はいよいよ顔を赤くした。
「ずるいなぁ。春は。
自分から言えばいいのに。」
春の頬にそっと手を添えると
総司は顔を近づけていく。
最初のコメントを投稿しよう!