春色平成児誉美

15/38
前へ
/500ページ
次へ
春が何を言ったのか なんとなく分かっておきながら 美姫はわざと訊いている。 「お、教えないっ!」 春は美姫から逃げるように 土方の背中に隠れた。 「お前ら何してんだ?」 土方は美姫を見る目とは 少しだけ違う視線で 自分の背後にいる春を眺める。 目を細め、口元を緩めた表情は とても優しげなものだった。 「……私、皆でこうしてることが 不思議でしょうがないなぁ。」 ちびちびお酒を舐めていた都が 突然ポツリと言う。 小さな声だったのに 誰もその言葉を聞き逃さなかった 「確かに。本当に私達、 幕末に行ったんですかねぇ?」 総司がとろんと微笑む。 そう言いつつも 総司の脳内には斎藤と春の父親の 無口な背中がかけ巡っていた。 「行ったんだろうよ。 だからお前らが 生まれ変わってんだろ。」 土方が都と優と冬馬を指さした。 「へ?どーゆー意味?」 冬馬が首をかしげる。
/500ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4574人が本棚に入れています
本棚に追加