家庭訪問

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「ただいまー」 「おかえり! なんか今日遅かったね」 春が家に帰ると 母に痛い所を突かれた。 昨日の今日なので まだ付き合ってることを 言ってないのだ。 しかし、土曜日に 総司が来るのなら カミングアウトしとかなければならない これから付き合っていく上でも 家族に知られている方が気楽だ。 別に悪いことを している訳ではないのだし…。 春は覚悟を決めた。 「うん。あのね、彼氏といたの」 鞄を起きながら サラリと言ってみる。 だが、返事が返ってこない。 春が母の方をチラリと見ると なんと!! 母は涙を流しているではないか! 「お、お母さんッ!?」 春は慌てて駆け寄る。 「ごめん!え!? 付き合っちゃ駄目だった!?」 春は脳内パニックだ。 母はブンブンと頭を横にふる。 「あ、あんたにも、 やっと色っぽい話が 来たかと思うと安心して~」 ポロポロと涙を流す。 「はぁぁ!?」 (あたしってそんなに 心配されてたの!?) 「孫は抱けないかと 思ってたのよ~ せっかく可愛く生んだはずなのに 剣道ばっかりして…。 19にもなるのに浮いた話 ひとつもなかったし…。 あぁ~!嬉しいわぁぁぁ~。」 鼻をかみながら母が言う。 「な、なら、良かった…。」 春はすんなり受け入れられたコトに 拍子抜けしながら答えた。 「じゃぁ土曜日、 家に連れて来ても良いかな??」 とも、付け加える。 「キャーーー!!!ほんとに!?もぅっ! ぜひ来てって言っておいて! 娘の彼氏をもてなすの 夢だったのぉ♪」 母はルンルンだ。 ねぇ、格好良い? 同じ学校の子? 学部は?身長は?性格は? などと、矢継ぎ早に聞いてくる。 春は安堵と疲れのため息をついた 母はすんなり突破だ。 (問題はお父さんだな…。) 春は居間の時計を見て もうすぐ帰ってくる父を思った。
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