春色平成児誉美

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「さてと……。 これからどうします?」 屯所跡を出た総司は 何か吹っ切れたように 清々しい顔をしていた。 「部活があるから 明日の夕方までには 帰らなきゃですよねー。」 春もさっぱりした表情をしている 「……じゃぁ今日は 京都で一泊ってことで 良いんですか?」 総司は伸びをするのを ぴたりと止めて春を見た。 「とんぼ返りするの勿体ないし、 あたしはてっきり そのつもりでした!」 春はワクワクした顔で バスの路線図を眺めている。 どうやら観光する場所に 頭を巡らせているようだ。 「春も大胆になりましたねぇ。」 「ふぇっ?」 「前はお泊まりなんて言ったら 過剰に反応してたのに……。」 総司は深く考えないまま 思ったことを口に出してしまう。 「…………。」 「春?」 「た、確かに……。」 そう言っている間にも 春の顔がみるみる赤くなってゆく
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