春色平成児誉美

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(いや、でも毎日一緒にいるから夜だって一緒に寝てるんだし慣れたというかでもそういえばあたし達まだ一線は越えてないんだよね慣れたとか何?いやいや恥じらいがなくなったわけではなくて……) 春の脳内には、文章として 機能してないような 支離滅裂な言葉が飛び交う。 「しゅ、春!ごめんなさい! なんか頭から煙出そうですよ! 深い意味はないんで そんなに考えすぎないで下さい」 総司はフリーズした 春の肩を掴んで軽く揺する。 「あ……う。はい。」 春はまだ少しモジモジしながらも なんとか自分を立て直した。 「とにかく今日は一日 旅行気分で楽しみましょう! せっかくの京都なんですから! まずは金閣寺ですか? 清水ですか?あ、伏見まで 足を伸ばしてみても良いですね」 総司が陽気にバスの路線をなぞる 「そ、そうですね!!」 気まずい空気を打ち消すように 春も明るく返事をした。 安心した総司は ちらりと横目で春を見る。 耳まで赤くなっている春が 愛らしくてたまらない。 ひっそりと、総司は 心の中だけで呟いた。 (でも、そうだなぁ。 今日の夜は、もう…… 逃がさないことにしましょうか) そんな狼なことを 思われているとは知らずに春は無邪気に笑おうとしている。 総司は幸せそうに口元を綻ばせた
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