春色平成児誉美

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「あー。これは癖になりそう。」 春はうっとりと呟く。 「癖にするのは良いですけど、 春もできるように なって下さいよ? じゃないと私ばっかりが マッサージすることに なるじゃないですか。」 総司は唇をとがらせた。 「はーい……。」 春の返事の声が小さくなる。 気持ちよさのあまり、 まどろみかけているようだ。 「しゅーん?」 「は…………ぃ。」 どんどん反応が薄くなる 春を見ているうちに 総司の心の中には 悪戯心が芽生えてくる。 「そっか……。 春がマッサージできないなら、 私も春も気持ちよくなれること しちゃえば良いんですよ。」 足から手を離した総司は そのまま春の体にのし掛かった。 「ふ?」 春は驚いて目を開く。 総司の小さな顔が 春の首元に埋もれた。 熱い息を感じて 春は一気に覚醒する。 「そ、総司!?」 「うん?」 「いや、“うん?”じゃなくて、 一体なななな何を!?」 「決まってるじゃないですか。 今日はもう、逃がさないって 決めてたんですよ。」 悪戯のつもりだったのに いつの間にか本気になっている。 「春は、嫌?」 「嫌……なわけじゃなっ」 総司が春の耳をちろっと舐める。 春の体は敏感に反応した。 「でもやっぱシャワーっ、 浴びて、から!」 「良いですよ、そんなの。」 その間にも、総司の手は 器用に動き回っている。 「だだだって、初めてなのに なんかそんなの……やっぱ っっ…………嫌です!!!」 剣道で鍛えられた脚力を生かして 総司のみぞおち辺りに キックを入れる春。 「そっ、そんなに 嫌なんですかぁ~?」 総司は涙目になって動きを止めた 「今は嫌ってだけです! シャワー浴びたら…… その、良いです、から。」 春は真っ赤になってうつ向く。 総司は弾かれたように 立ち上がった。 「絶対ですよ!!? ならシャワー浴びてきます!」
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