春色平成児誉美

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総司の変わり身の早さと あまりの必死さに 春は唖然としてしまう。 バタバタとシャワーの 準備をしていた総司が ぼんやりしている春に言った。 「一緒に入ります?」 半分冗談、半分本気の総司。 春はサッとキックの体制をとった 「……分かってましたよ。 分かってましたけどね。」 総司はわざとらしく めそめそしながら シャワールームに消えた。 それからしばらくして 薄い壁越しに水音が聞こえてくる 春はそこで始めて ぷはっと息を吐いた。 ロボットのように ぎこちない動きで両手を動かし ばちんっと自分の頬を挟む。 「え?えぇ~~~~??」 小さく叫んだ。 今更ながら事の重大さに気づく。 もちろん断る理由などない。 ただ、あまりにも そういったことをせずに 付き合ってきたので いまいち実感が湧かないのだ。 (あぁぁあ!しかも今日の下着、 さっきコンビニで 買ったやつだし! 着てきたヤツ着けるのも それはそれで嫌だけど!) 妙にリアルなことを考えて ベッドの上でくるくる転がる。 (上手くできるんだろうか……。 総司に嫌われちゃったら どうしよう!!) 春は頬を強く挟んだまま 転がり続けた。
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