春色平成児誉美

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「……知ってますか? 原子って絶対に割れたり 無くなったりしないんですよ。」 総司が春の黒髪を指に絡めて もて遊びながら言った。 「う?」 総司の胸の上にあった 春の小さな頭がもぞりと動く。 それを見た総司は 子供をあやすように 春の背中を優しく叩いた。 「あはは、寝ちゃってましたか。 土方さん達の言う通り、 なかなか激しかっ……」 「わぁぁあぁあーーーー!」 頭から煙を出さんばかりに 顔を朱に染めた春が身を起こす。 「恥ずかしいっ! さっきまでのは忘れて下さいぃ! コンビニパンツも デリートしちゃって下さい~」 春はぶんぶんと頭を振った。 「そんなの無理ですよ。何を今更恥ずかしがってるんですか。」 総司は楽しそうに くっくっと笑う。 春はますます赤くなる。 「ほら、おいで。 そのままの方がよっぽど 恥ずかしいんじゃないですか?」 総司は春の体を指差した。 「あ。」 ホテル備え付けの浴衣を 肩から羽織っただけなので 布団から出てしまった 春の体は色々な部分が丸見えだ。 「わぁぁぁ!!」 春は総司の腕の中にダイブして 布団をひっかぶる。 「さっきまでの方がよっぽど 恥ずかしいことしてたのに。」 総司は声をあげて笑った。 「そっ、それより さっきなんて言ったんですか? 原子がどうとか……。」 春は必死で話題を変える。 「あ、あぁ。 そういえばそうでしたね。」 総司は春をからかうのを止めた。
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