春色平成児誉美

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「で、結局何が 言いたいんですか?」 春は総司の顔が見えるように 少し頭を上げる。 「生まれ変わりっていうのも あながち不思議なことじゃ ないのかも知れないなぁって。」 誰かだった、 あるいは何かだったカケラが 再び誰かや、何かになる。 総司が言いたいのは そういうことだった。 「でも、心とか思考とかは? まったく同じ塊になることなんて 絶対にないだろうし……。」 春は必死に頭をめぐらせて たどたどしく総司に問う。 「そうですねぇ。 そう考えるとやっぱり 私と春っていう個体が 出会えたことって 本当に奇跡だと思いません?」 総司がふわんと微笑んだ。 「……そうですね。」 春は総司の体に手を回す。 「ってことで!!」 総司が素早い動きで 春の体を持ち上げた。 「わわっ!!?」 ロマンチックな気分に浸っていた 春の視界が急速に回転する。 「その奇跡を無駄にしない為にも ……もう1回。ね?」 再び春を押し倒した総司が 春の耳元で甘えた声を出す。 「待って!さっきも なんだかんだ2回……っ!」 「私は体力ありますからね。 1回イコール2回なんです。」 訳の分からない自分ルールを 発動させる総司。 「私の体力は無視ですか!!」 春は非難の色を見せたが 結局は無駄な抵抗に終わった。 そして春はまだ気づいていない。 総司のルールで考えると、2回イコールは4回だということに…… 翌日。 春の腰は猛烈に痛んで 結局部活には出れなかった。
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