家庭訪問

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そして土曜日…。 「おじゃましまーす!」 家にやってきた総司を見るなり 母は春の背中をバシリと叩いた。 「痛ッ!」 「あんたやるわね!!イケメンね!!」 などと言っている。 本人にも 「格好良いわね~モテるでしょ~」 と、話しかけている。 (初めてのあいさつがそれかい!) 春は心の中で突っ込む。 総司はクスクスと楽しそうに笑った。 「春の部屋は2階よ。 後でこのお饅頭も 持っていくわね」 「あ、おかまいなく。」 総司が靴を脱いで家に上がる。 「部屋に上がる前に お父様にもあいさつを…」 と、総司が言っていると 父の方から玄関に出てきた。 「あ!どうも! 沖田総司と言います!」 総司が頭を下げる。 父も 「よろしく。」 と短く言って頭を下げた。 そして総司の目を見て 父が息をのむのが分かった。 春が久しぶりに見る 父の驚いた顔だった。 「お父さん??」 春が話しかけると 父はハッと我にかえった。 それから総司にこう言ったのだ。 「君、相当強いなぁ。 なんだか、経験値がもの凄い。」 今度は春と総司が 父の言葉に驚く番だった。 (お父さんが沢山喋った!) とも、春は思ったが 何より父の勘の するどさに驚いた。 総司は幕末の記憶も 持っているのだから。 経験値も高いだろう。 「いえ、そんなでもないですよ」 総司が手を振りながら答える。 「ほらほらお父さん! 邪魔者は退散しましょ!」 母が父の手を引いて 居間に引っ張っていく。 2人が見えなくなり春は 「上がろうか…。」 と、総司を部屋に促した。
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