あの人との再会

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『 ど う し て ?』 話し込んでいる 総司と土方をぼうっと眺めながら 春はそんな疑問が浮かんだ。 「どうして、記憶が戻ったとき あたしや総司…ううん。 他の新撰組の人も 生まれ変わって いるかもしれないと 探さなかったんですか?」 今まで黙っていたのに 突然口を開いた春に 2人が注目する。 「記憶が曖昧だったから 自信がなかったんだ」 土方が目をそらしながら答えた。 「副長は嘘をつくとき 必ず相手の目を見ないんです。」 春が土方に強い眼差しを向ける。 「…土方さん?」 総司が不安げに 土方の顔を覗き込んだ。 「けっ!! お前らだって 探してねぇじゃねぇか! 思い人しか生まれ変わってねぇと 勝手に決めつけやがって。」 土方が語気を強める。 「あたしは 総司が思念をムービーとして 現代に飛ばしたからこそ 記憶も体も総司のままで 生まれ変わったのだと 思っていました。」 春が静かに話す。 「私もです。」 総司が小さくうなずく。 「だから他の人が 例え生まれ変わったとして ちょうどこの時代に、 しかもあの頃の姿、 あの頃の記憶を持って というのは想像もしなかった。」 春は淡々と続ける。 「そしてあたしの知っている 副長・土方歳三は、頭が切れて 気になることがあれば 巧妙にどんな手を使ってでも はっきりさせる武士です。」 「なるほど。 徐々に頭にビジョンが… の時点で、土方さんならば 新撰組関連を片っ端から 確認しようとするでしょうね。 そして皆を探し始めるはずだ。」 総司が納得する。 「ならなんでしなかったのか? 確信があったからとはいえ それをしなかったにも関わらず 今日は駆けつけたのは どうしてなのか?」 春が土方に詰め寄った。 土方が下唇を噛み締める。 「副長?? 何を隠してるんです?」 春はきっぱりと疑問をぶつけた。
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