過去は過去でも

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「あなたに隠し事は無理ですね」 総司はヤレヤレと首を振る。 「土方サンが 今日ココにかけつけたのは 私達の邪魔をする為みたいです」 「は?」 春は意味が理解できずポカンとする 「土方サンもまだあなたのことを 憎からず思ってるんですよ。 で、泊まりっていうシチュエーションが 許せなかったんでしょう。 昨日の様子見、加えて今晩 2人っきりにならせまいと 考えていたんでしょうね」 「はぁぁ!?」 春はあまりの バカバシしい理由に脱力する。 「そのくせ、結局は人が良いから 邪魔しきれずに 退散して行ったんですよ。」 そこまで言って総司は吹き出した 怒ったのは一瞬で 土方の情けない一面を 心底面白がっているようだ。 「どこまでもとことん 土方さんですね~。 普段は格好良いのになぁ。」 「いやいや! あたしはまだ色々 理解しきれてないですよ!? 本当にそんな しょーもない理由なんですか!?」 「ぶーーー!! あはは!しょーもないって… 土方サンはいつでも 真剣大真面目なのに」 春は脱力した。 どうやら本当に 理由はそれだけのようだ。 (副長ってば、約150年の時を 超えて出会えたとか そーゆー感慨みたいなの ほとんどないじゃん…) 春は呆れながら 笑い転げている総司を眺める。 その表情は 遠く幕末の空の下、 土方の句集をからかっていた あの笑顔そのものだ。 それを見て春も次第に 笑みがこぼれる。 (悔しいけど、総司のこの顔は 副長じゃないと 引き出せないかも) 「まぁ、とにかく 会えて嬉しいですよ。あたし。」 春は総司に笑いかけた。 「私も嬉しいですよ。 あんな面白い人 土方サン以外いないですからね。」 総司は無邪気な笑顔でそう答えた
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