過去は過去でも

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「春…」 総司は唇以外にも 瞼や頬、耳やおでこに 口づけていった。 「ん!」 その度に、 春はまつげを震わせる。 ふと首元に 総司の長く冷たい指を感じた。 ツゥッと鎖骨を撫でられる。 それと同時にゆっくりと ベッドに倒されていく。 春の甘く痺れた体の中で これからの時間への 緊張と期待が ごちゃ混ぜになっていく。 「春…、怖い?」 春は総司の美しい顔を見上げた。 大好きな総司。 総司の唇。瞳。鼻。耳。 すべてが愛しかった。 春はゆっくりと首を横に振る。 「怖くないよ。 それよりも… 総司ともっともっと 強く繋がっていたいから」 春が微笑むと 総司も安心したように 少し笑った。 「好きだ」 総司は春の耳元で 短くささやき 唇を今度は深く長く奪う。
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