過去は過去でも

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それから3日後の昼休み…。 「もしかしてあれ!?」 春は校門の前に止まる車を見て 慌てて駆け寄った。 「よぅ。」 春がその車の近くまで行くと 案の定、土方がフラリと 運転席から顔を覗かせる。 「すいません。 わざわざ学校まで」 春は助手席に乗り込む。 「良いさ。今仕事も暇だしな。」 土方は車を発進させる。 「そうえば副長。 仕事って何してるんですか?」 春は単純に 疑問に思ったので聞いてみた。 「製薬会社で薬の開発だ。 昔の記憶が戻ったとき 不思議な感じがしたもんだ」 「あ!そうか。 江戸では薬売ってたんですよね! 石田散薬??でしたっけ。」 春が感心していると、 赤信号で車は急停止する。 土方が強い瞳で春を見つめた。 「聞きてぇのは、 過去は過去でも そんなつまんねぇ 昔話じゃねぇだろ?」 周りの雑音が 聞こえなくなった気がした。 土方も総司も 人の気持ちを見透かしすぎる。 春はゆっくり首を縦に動かした。
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