袖擦り合うも

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「なるほどな。 で、オレに相談、と。」 「はい。」 春はしょんぼりと俯く。 大学から少し離れた喫茶店に 春と土方は入っていた。 店内はひっそりとした雰囲気で 落ち着いて話ができる。 春はそこで 総司を、一瞬だけではあるが 幕末の総司と違う人物に 思ってしまったことを 土方に打ち明けた。 「生まれ変わりっていう存在が 疑わしくなったって話だな?」 「違っ…!!」 生まれ変わりを 信じてない訳ではない。 平成で総司と出会ったとき 一目で総司だと思ったのは 春なのだから。 でも…。 「当たり前だ。 容易に信じれる話じゃねぇさ。 すんなり 受け入れられる方が不思議だ。」 土方は春を安心させる様に笑った 「信じたいのに 疑問点があがっちまったから はっきりさせて ちゃんと思いっきり 総司とイチャイチャしてーんだろ?」 「!!///」 反論したいのに 微妙に図星で、 春は顔を赤らめる。 「ケッ。まったく…。 オレはお前らの お守りじゃねんだぞ」 (少しはオレのことも 男として見やがれ。) 土方はいつまでたっても 時を超えてすらも 春の兄的存在なことに がっかりした。 しかし、頼られるのは 悪い気分ではない。 たぶんこの頼り方を 総司にはしないだろう。 それはそれで 特別な気分がするものだ。 何より、春には 幸せになって欲しい。 それが例え総司とでも 支えてやりたいと思うのは 惚れた弱味なのだろうか。
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