袖擦り合うも

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「相席失礼しますよ。」 総司がどことなく疲れた表情で 春の隣に腰かける。 「総司?どうして?」 春は土方へ相談に行くことを 話の内容的に 総司に伝えていなかった。 「橘さんが、春が強面の男に 誘拐されたって血相変えて 駆け付けて来まして」 総司は爽やかな水色Tシャツの襟元を 暑そうにパタパタしている。 「誘拐!?美姫が!?」 春は訳が分からず驚く。 「強面ってなんでぃ?」 土方がブスッとした顔で 細かいことに突っ込んでいる。 「焦りましたよ~。 車が出てった方向を ひたすら走って春を探し回って」 「この暑い中 ここまで走って来たんですか!? すいません!! 心配かけてしまって…」 「いいんですよ。 こっちの早とちりなんですから。 橘さんったらなんで誘拐とか 思ったんですかねー。 やっぱり相手の男が 怖い目付きだったからかなぁ」 総司がチラリと土方を見た。 「てめぇー!言わせておけば!」 「ほら。怖~い」 総司がニヤニヤしながら 大袈裟に怖がるフリをする。
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