袖擦り合うも

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総司が春に向き直り ゆっくりと話始める。 「春。今の私は確かに、 昔の私とは違うかもしれません」 「そんなことありません! 総司は、総司で!」 春は信じてない訳ではないことを 必死に伝えようとする。 「嫌だなぁ。 そこは決して疑ってませんよ。」 総司が困ったように笑い続けた 「今の私は、昔の記憶も 確かにあるけれど、 平成を20年生きてきた記憶もある 言わば新しい“総司”です。」 土方は黙って 総司の言葉を聞いていた。 「人って変わって いくものだと思うから… 春だって、 私に再会するまでの2年間 良い意味で変わってる。 私の記憶とは髪型も違うし 剣術も格段に強くなって 綺麗にもなってますね。」 総司は最後の言葉で 照れたのか、頭をかいた。 「再会してまだ1月、 その期間で、お互いのすべてを 信用するなんて無理ですよ。 できたと言うなら 逆にうそくさいです。」 「そうじ…。」 春はまた涙が溢れそうになった いつもいつも 総司にはかなわない。 いつだって 春の欲しい言葉をくれる。 「私達はこれから少しずつ この時代で昔以上に 信頼しあっていけば 良いんですよ。」
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