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「一狼っ! あんた話聞いて―――」
「あっ、琴山君!! ちゃお~」
と、私の言葉を遮り一狼に駆け寄る友達。
「ちゃおちゃお~。何? 俺とお嬢様の噂話?」
「うんうん、お嬢様と琴山君の噂話っ」
ニヤけた顔であたしを挑発するように見ている二人。
「ちょっとあんた達っ!!」
「おーコワっ! ご立腹ですか?」
「こわーいっ」
私の事など気にせず、悪ノリしてきた二人。もう怒鳴ることも面倒になり、睨みつける。
「ははっ、悪かった。用があって来たんだよ」
私の熱く、憎しみのこもった視線を感じてか、一狼が笑いながら私に歩み寄る。
「……何よ?」
「……集合だってさ。校長には話が通ってるから行くぞ」
少し影のある笑みで一狼が微笑む。
「!? 分かったわ、行きましょう」
「何々? 何を密談してるのよ~??」
友達が会話に入れず、頬を膨らませている。
「ゴメン、ちょっと今日は相早退するわ、じゃあねっ」
潰れたクリームパンを友達に押し付けると私は一狼と駆け出す。
「あ~あ、今日は早退かぁ~。……いつも二人して早退してるから噂が立つのよ……ちょっと羨ましいわ」
潰れたクリームパンを口に運びながら呟いた。
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