*一隣*

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ごくごく一般的な高校生の私には、護るべき場所がある。 学校生活。友達や、一般人と関わりをもつ第二の日常。 そして――― 身体に走っていた感覚が治まり、瞳を開くと、そこは夕闇のように薄暗い空間。 学校の校庭ほどの広さの空間にはしっかりとした物、半壊した物、土に還る前の物……石でできた鳥居があちこちに存在し、そんな異様な空間の空は、ドロドロとした黒と灰色の波紋が広がり、絡み合う。 この空間は私が護るべき第一の日常。 「おぉ~いるいる。今日は団体さんだ」 私の隣にある、半壊した鳥居の上で一狼が目標を見つけたようだ。 「団体? 面倒くさいわね……」 と、一狼に声を掛けた瞬間、前方の鳥居が轟音と共に粉々に吹き飛ぶ。 「くっ…」 「……やってくれんじゃん」 小石大になった鳥居が私達に降り注ぎ、土煙が辺りを覆う。 その煙がはれ、私達の目の前に姿を現したのは、 私と同じくらいの身長を持ち、細くやせ細った身体に、異様に膨らんだお腹……そして頭に小さな角を生やした化け物。 皆、甲高く、叫び声に似た声を発しながら、辺りの鳥居を壊しまくっている。 「…ありゃ餓鬼(がき)だな……。しかも一番タチの悪い多財餓鬼。全く、餓鬼道の奴らがここに何しに来たんだか」 「……理由なんてどーでもいいわ。私達は…私達のやるべきことをすればいいの」 「模範解答ありがとよっ! じゃあ行くぞ、優等生君っ!!」 一狼が両手を前に構えると、握り締めた拳から腕に掛けての空間がグニャリと歪む。 その歪みが治まった時、一狼の両手には丸い円形状の球体がついたトンファーが握り締められていた。 「先に行くぞ楓っ!」 鳥居から一狼が、餓鬼の群れに向かって飛翔する。 そして餓鬼の群れに一狼が消えた瞬間、地面が揺れ、土煙が空に向かって走る。 空に上った土煙が拡散すると同時に、ボトボトと、生々しい音を立てて、餓鬼だったモノが空から降り注ぐ。 それらは地面に叩きつけられると同時に、黒煙となり、飛散していく。
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