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「よかったら、彼氏くんの携帯の番号教えてくれないかな？」
「なんで俺？」
「そっちの方が君にしても安心だろ？」
なるほど、実は俺を狙ったってな訳じゃないんだ。
ちょっと残念。
「じゃあ赤外線しますか？」
「ありがとう、助かるよ」
俺はスカウトマンと赤外線通信するという貴重な経験をした。
普通はあり得ないだろうな。
ノーマル浩介が培って来た普通という二文字が音を立てて崩れる瞬間だった。
「じゃあ最後に二人の名前を聞いていいかな？」
「藍沢浩介です」
「水嶋海です」
「藍沢くんに水嶋さんか……、それじゃあ今日はこれで」
スカウトマンはそう言って俺達の前から去って行った。
貰った名刺には真田隆介（さなだりゅうすけ）と書いてあった。
名前とか教えて大丈夫だったかな？
急に不安になって来た。
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