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(´・ω・`)「……こいつを見てくれ」
彼が差し出したのは、四角い箱だ。白い箱。それを、クーが出されるがままに受け取った。
それは、あまりに慎重な手付きでちゃぶ台に置かれた。
皆が惜しみなく視線を注ぐ中、クーがそおっとその箱を開く。途端、顔に浮かぶ驚愕の色。
立ち尽くしたままのショボンを、彼女は慌てて振り返った。
川;゚ -゚)「おい……!こ、これは、まさか……!!」
(´・ω・`)「皆見てくれ……そいつをどう思う?」
川;゚ -゚)「馬鹿者が……!どうなっても知らんぞ……!!」
(´・ω・`)「ごめん。でも、耐えられなかったんだ……」
尋常でない二人の空気に、死神達も次々と箱の中を覗き込む。そして、息を飲んだ。
_
(;゚∀゚)「おいおいマジかよ……」
(;´∀`)「ショボンさん、これは一体……!」
振り扇いだ二人にも、ショボンはゆるゆると首を振るばかりだった。ブーンも、恐る恐る箱に触れる。
――そこにあったのは……――。
( ^ω^)「すごく……ケーキです……」
苺にクリーム。ブルーベリーにラズベリー。色とりどりのフルーツの上に降りかかった淡雪のような粉砂糖。
その中心、“MerryX'mas”と記されたホワイトチョコレートの板を支えるように立つのは、小さなサンタクロース―――。
誰が間違えよう。これは、どこからどう見てもクリスマスケーキだった。
川 ゚ -゚)「まさか……貴様が裏切ろうとはな……ショボン」
(´・ω・`)「……謝って済むとは思ってないよ。どうしても駄目だった。誘惑に負けたんだ……この僕が」
――町には、朗らかなジングルベル。天界の白い路は最早ホワイトクリスマスを連想させる材料に過ぎない。
きらきらと光るイルミネーションの中、サンタの仮装をした売り子が懸命にケーキを捌いている――。
気付いたときには、箱の入った袋が目の前に突き付けられていた。
――蝋燭は何本ですか?
冬にそぐわぬ温かい笑顔。それに、思わずつられて微笑んだ。
(*´・ω・`)「じゃあ、五本で……」
心なしかいつもより足取り軽く帰路に付いた。
だが、あれこそがクリスマスの罠だったのだ。どうして気付けなかった。
もう、すべてが手遅れだった。
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( ゚∀゚)「お前……」
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