~1章~

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―約一ヶ月前の事。 例の夢が初めて現れた ほぼ毎日、ずっと… 受験に向けて勉強しないといけないという 大切な時期に、謎だらけで 日に日にその姿を見せてくる夢は 時に一部の思考を止めることがあった 最悪…。 とかなんとか言っておきながら、実は 余裕だったりするんだけど。 でも、いくらこの優秀な才能を以ってしても 自分の中の物理性のない夢を消すことなんて できるワケがなかった。 ―そして、今現在。 目が覚めてから二度寝できずに ベッドの中で毛布を被せて頭を抱えていれば 数時間後、ようやく朝日が昇ってきた 窓から差す日の光は眩しく、 頭を包んだ毛布の隙間から沈んだ顔を照らし 精神を暗闇から引き戻す ぁ…朝だ。 悪夢だって結局は『夢』にすぎない 現実に返り、目をひらけばいつもの景色が映る ―そして、また平凡で平和な一日が始まるんだ― ベッドから立ち上がり、制服に着替えてから 床に置きっぱなしにした学生バッグを手に取り 一階のリビングへ向かった 家の中は朝から晩まで静かだ ウチの父と母は共働きで家にいないことが多い、 だから家事のほとんどは自分がやる。 いつも仕事でかまってあげられない代わりに 毎日、リビングのテーブルに長文のメモを残してくれるのは やっぱり親の愛情だと思う いつものように朝食はご飯一杯とおかず。 食べたらお昼の弁当を作り、終えたらバッグに入れて掴み すぐ玄関へ走り出し靴を履き、学校へと向かって駆け出した
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