~1章~

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― 時は流れ、帰りのホームルームが終わった放課後。 いつものように友達に誘われ、教室で残って 最近の話題を挙げて雑談をしていると、 「おい、誰か手伝いに1人来てくれないか?」 パシりがお得意の担任だ ウチを含めて4人いたから、ジャンケンをすれば 自分が負けて、「うわ、めんど~」と呟いて しぶしぶ担任のところに行った 『倉庫室から夏休み前の大掃除に必要な 用具を取ってきておいてくれ。 会議で忙しいんだ。よろしくな』 「へ~い…」 それから職員室方向、廊下の向こうへ 急ぎ気味で歩いて姿は消えた 「んじゃ、頼まれちゃったから取りにいってくるよ。 ちょっと待っててね~」 『りょーかーい!』 『まってんね~』 『いそいでよーっ!』 全面コンクリート丸出し、埃っぽくて 少し汚らしい倉庫室の中、薄暗い倉庫の天井に一つ コードでぶら下がっている小さい電球の明かりをつけた 授業で使ういろんな小物、小道具や その他の用具が棚や床に雑に置かれている 目的のモノを探しに部屋の奥へ入り込んでいくと… …ん? 何かが反射して光っているものが視界に入る なんだあれ? すぐにその物の近くへ歩み寄る 鏡? 半径15cmぐらいの円盤で 縁の細工が凝った感じの大きめな鏡、 それがポツンと壁に立て掛けて置いてあった。 なんか神秘的だなぁ… つか、何に使ってるんだ? ―その後、真面目に頼まれ事を果たし 何分も待たせてしまった友達と合流してから 学校から出た門の前で解散した 『荏李!じゃーね~!!』 『ばいばーい♪』 『また明日ねっ!!』 「みんな!!また明日~っ!!」 ―この時、この言葉が『永遠の別れ』を告げる言葉だとは感じなかった 先生とも、 友達とも、 親とも、 そして、この世界とも…。
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