第一章~首位奪取~

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スタジアムはほぼ満員といっていい。 ライトスタンドがホーネッツのカラーである黄色と黒で埋まっている。 ホーネッツはここ五年ほどΒクラスに低迷していた。 しかし今年はスタートダッシュに見事に成功し、今は首位と0.5ゲーム差としている。 そして今日の試合に勝てば単独首位となり、しかもホーム戦。 ファンたちが黙っているわけがない。 そう思いつつスコアボードに目をやる。 3対5でホーネッツのリードだ。 今は六回裏のホーネッツの攻撃。 できればこのまま逃げ切りたい。 ということはもうそろそろ私に声がかかるはずだ。 「高田、ブルペンで肩をつくってくれ」 思ったそばから監督がそう指示を出してきた。 私はグラブを片手にブルペンに向かう。 この分だと出番は八回といったところか。 ブルペンのドアを開けるとそこには先客がいた。
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