第一章~首位奪取~

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堅というのは先輩の小島さんのことである。 小島さんはホーネッツの絶対的エースピッチャーでもある。 球速、投球術、球威、安定感、コントロール、キレ、全てが一流。 140㌔半ばの球威のあるストレートにキレのあるスライダー(フォークと錯覚するような)の前にバットは空を斬る。 ただ今日は発熱(本人は微熱といっていたが実際はどうだか?)していたので普段の小島さんとは程遠いピッチングだった。 にも拘らず六回を三点に抑えたのはやはり彼がエースであるということを示してる。 相変わらず外からはファンたちの一喜一憂の声が聞こえてくる。 私はそんな声を尻目に黙々とブルペンで肩をつくり始めた。 しばらくすると 『ホーネッツ、ラッキーセブンの攻撃です』 というウグイス嬢のアナウンスが聞こえてきた。 どうやら滝沢さんはきちんと抑えてくれたようだ。 出来ればあと一点ぐらいは欲しい。 しかしすぐにライトスタンドからため息混じりの声が聞こえてきた。 どうやら得点は入らなかったらしい。 ということは……。 ブルペンの電話が鳴る。 さて、どうやら出番のようだ。 私はグラブを片手に持ちブルペンを後にした。 そして、内野手と監督の輪が出来上がっているマウンドに私は向かった。 ウグイス嬢のアナウンスが入る。 『ホーネッツ、ピッチャーの交替をお知らせします。滝沢に代わりまして、高田、背番号25』
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