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「気を付けろ。この回は九番から始まるがおそらく代打がある」
まあこの展開でピッチャーをそのままバッターとして送り出すことはないだろう。
私は頷き
「分かりました。とにかく先頭打者には気を付けます」
と監督に答えた。
監督も頷きベンチに戻る。
「とにかく頼むぜ、お前は中継ぎエースなんだからな」
今、声をかけてきたのは吉村 三郎(よしむら さぶろう)だ。
私と彼は同じ歳だが彼は高卒で入ったため私よりもキャリアは長い。
この世界では歳よりもキャリアの長さで先輩と後輩が決まる。
だから本来では私のほうが後輩なのだが彼は私にフレンドリーに接してくれる。
事実、今では彼と親友である。
もちろんお互いに話すときは敬語なんて使わない。
「ありがとよ、サブ(吉村のあだ名)。それじゃあバックを頼む」
と言ってマウンドから内野手たちがそれぞれの守備位置に散る。
そして私はロージンに手をやり、投球練習を開始した。
規定の八球を投げてバッターがバッターボックスに入る。
そして審判がプレイをかけた。
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