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亡くなる一週間前くらいから、ほとんど食事を食べなくなった。
血混じりのものを吐く。
そのうち立つのも辛そうになってきた。
散歩も家の表まで出て、
入るときは抱えなくてはならなくなった。
あんなに人に抱かれるのを嫌がっていたのに、
大人しく抱かした。
こんなに軽かったっけ?
便もゆるいものしか出ないから汚れてしまう。
とくにお尻は触られると怒るくらいだったのが、素直に洗わしたそうだ。
亡くなる前日の夜中から明け方、
何かを訴えるかのように、
いつもとは違う声でないていた。
母と、私はもう一匹の犬を抱えながら、
落ち着くまでさすっていた。
その日。
血混じりの吐しゃ物。
体にもう力が入らないのか、ぐったりしている。
父に抱かれ、車で病院に急ぐ。
検査。
生きているのが不思議なくらいだと。
もう、この二、三日くらいだと。
私は会計を済ますため残り、
父は彼女を抱え、先に車に戻る。
数分後。
携帯が父からの着信を知らせる。
「…っ……
こ…コロが……
…死んだ……っ…」
家族内で一番、二番に涙もろい父娘である。
こらえにこらえ…きれてなかったかもしれないが…。
涙目で受付さんに伝える。
迷惑な患者ですみません…。
医師に死亡確認してもらい、ついでに綺麗に整えてもらい家路に着いた。
その車内での会話。
「親父ぃ、安全運転でよろしくぅ…(ズルズル)」
「(ズルズル)…お、おぅ」
涙と鼻水でズルズルの顔で、
対向車の方はさぞ、驚かれたことでしょう。
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