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昼食を終えた囚人たちは今、鍛錬場へと場所を移し、鍛錬に励んでいた。
鍛錬場といっても石壁に囲まれた、ただ広いスペースがあるだけで、トレーニング機材等はない。
しかし鍛錬している囚人達の中に手を抜いている者は誰もいない。
いつ自分に試合の順がくるか分からないのだ…その恐怖を打ち払うかの様に皆鍛錬に没頭する。
この国の刑務所のシステムは少し変わっており、罪の重い、軽いで服役年数は変わるものの、処罰事態は変わらない。
つまり軽犯罪者だろうが重犯罪者だろうが服役期間中に試合に当たれば出場しなければならない。
また、囚人の仕事を午前、午後に分け、東西南北に位置する塔(牢獄は地下だが)の囚人達がローテーションで回すことにより、午前か午後どちらか一方は鍛練に費やせるよう工夫している。
そしてそこまでするのも、ひとへに【グランティア】の為である。
観客としてはあっけなく魔物にやられてしまってはつまらないのだ。
抵抗し、足掻き苦しむ姿を観客は求めている…
そんな訳で国は囚人に鍛錬する時間を与え、更に囚人達に一つの希望を与えた。
それは自由という名の免罪符。
如何なる罪を犯した者も三回勝てば無罪放免。
更に再犯も無罪。
ただしこれを手にするのはほぼ不可能だと言われている。
なぜなら、仮に魔法が使えても、腕輪が外されるのは試合直前。大きな魔法は使えない。
魔法が使えれば少し有利になるだけであり、使えない者にとっては少し体調が良くなる程度。
頼りの武器は国が用意したボロボロの剣や斧。
生身では魔物は疎か、大型の動物ですら勝つのは難しい。
これでは単なる公開処刑と変わらないだろう。
そんな絶望的な状況で囚人達は戦わねばならない…
ただ過去に一人だけ…
この偉業を成し遂げた囚人がいた…
―その名はカムイ・S・クォーツ
大空賊【シルフィ―ド】のキャプテンであり…
盗賊国家と呼ばれるこの国【シルド】が生んだ…
世界的大悪党である…
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