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平賀優(ひらがすぐる)は目の前のアパートを見て愕然とした。
…ボロい…
出てくる言葉はそれだけ…自分の他に5人住んでるらしいが、信じられないくらいにボロい…
木造二階建てのアパート…木々は悠然とアパートのボロさをアピールしている。
「とにかく、中に入ろう…」
春とはいってもまだ肌寒い。
彼の部屋は二階…日当たりが良いのが救いと言ったところか…
彼の他には男子2人女子3人だときいた。
…どうせここでも…なんて暗いことを考えていたとき少女の声がしてきた。
「みんな~,新入りだぁ~」
どこか間の抜けた声が玄関から聞こえてきた。
その声の主がこちらに近くに歩み寄ってくる。
おもむろに手を差し出して自己紹介を始めた。
「荻野雫(おぎのしずく)って言うの。よろしくネ」
「平賀優。よろしく。」
そして、彼の日常は動き始めた。
二階に行くには、玄関を入って右の突き当たりの階段を上がる…今にも板が抜けそうだ。
上ると3部屋あってその真ん中が彼の部屋だ。
一番突き当たり側…203号室には男子で名前は原川翔(はらかわしょう)と言う。
その反対側は201号室、中原唯(なかはらゆい)といって無表情で取り付く島がない少女だ。それはまあいい。
だが、問題は原川翔だ。
部屋の隅に空いている穴からアナゴのように現れるのだ。
だから、彼はドラ○○んのように押し入れで眠る。
あと、部屋の中にあるのは、机とパソコンだけ……
今、彼の新しい生活が始まった。
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