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満月が光り輝く夜。
街灯すら届かない屋根を一人の人間が疾走していた。
全身を隠す赤いローブ。
ローブから溢れるように出ている赤と黒の髪が満月に映し出される。
「あはっ」
楽しげに笑うと、跳躍した。
同時に人間がいた足元に矢が刺さる。
後方にはボウガンを構えた黒装束の男が三人。
「素早い女だ」
黒装束の男の一人が呟く。
赤いローブをまとった人間は女。
「死んじゃう? 死ぬ? 殺す……ね?」
女はそう呟くと、片腕を振るった。
いくつもの鎖が前方へと飛来する。
瞬時に黒装束の一人を幾十にも絡めとると、鈍い音と共に首を締め付ける。
「があ!」
その声を最後に、男は絶命した。
「クスクス……」
女は笑う。
目を見開き。
黒装束の男たちはその紅き瞳に怯えた。
狩る側の瞳だ。
「射て!」
同時に二つの矢が飛来する。
が、女は腕を振るい鎖で矢を落とした。
「残念でした。はい、努力賞あげるね?」
刹那、二人の男は鎖で頭を潰された。
「クスクス……クスクス……クスクス」
女は笑い声を響かせ、闇へと消えていった。
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