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「…紫姫、またソレといたのか。先日も言ったろう?!ソレと一緒にいるなと!!何度言ったらわかる!!!」
「…すいません。父上。」
蒼雲は頭ごなしに紫姫を叱る。
「…次は稽古だ。早く稽古場に来い。」
蒼雲はそう言って、戻っていった。蒼雲がいなくなった後、沈黙が続いていた。
「紫姫..ごめんな。」
紫皇はうつ向きながら静かに言った。
「なんで兄さんが謝るんですか。悪いのは俺です。だから..謝らないで下さい。」
紫姫も静かにそう言った。
「俺なんかが..生まれてきちゃったから紫姫がこんな思いしちゃうんだよ...なんで生まれた時に...殺されなかったんだろう...」
紫皇は哀しげに言った。
その言葉に紫姫は反応した。
「兄さんは悪くないっ!!悪いのは全部..霧雨家の掟のせいだっ!!!兄さんは...っ...悪くない……!!!」
ポロポロと紫姫の瞳から涙が溢れでてくる。
「…紫姫……父上が稽古場で待っている。早く行きなさい。」
紫皇は静かに言った。
紫姫も静かにうなずいて。
「…わかった……。」
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