秋の一輪

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 秋。  それは夏の次の季節。  当たり前すぎることだがこれは大きなことだ。  夏の夜、花火祭りの下で起きる男女の目まぐるしい恋の駆け引き。  それがどうしたもんだ? 食欲の秋? 読書の秋? 片腹痛い。  つまり、あの華やかな『夏』を経て巡る季節として『秋』という季節は寂しすぎやしないだろうか。  少なくとも僕はそう思う。    ……しかしだ。この秋は僕にとって素晴らしい季節だった。  何故か。そんなのは決まっている。  彼女と過ごした季節だから。
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