妖請け負い屋

第一夜

陽次郎さんの声色が変わったのと同時に、目が笑みとは異なる形で細められた。

ぞくりとした。
切長の目を、獲物を前にした獣のようにギラつかせて、口端は上がっているけど瞳は笑ってはいない。
(こっちが、この人の本性―――？)
先程のにこにことした優しい雰囲気とは打って変わり、冷淡なオーラを放つ陽次郎さんが、恐ろしく感じられた。

「…蒼月さん？」
どうかしましたか？そう続けた声は、先程の優しい陽次郎さんのそれだった。
瞳もにっこり笑んでいて、私は知れず安堵の息を吐いた。

「…………ここは、妖や幽霊…そういった類の悩みを、解消してくれる所と聞きました」
「えぇ。あくまで私の出来る範囲で、ですけど…」
「構いません。」
どこから話せばいいのか悩む。うーん、と唸ると、陽次郎さんは「どうぞ焦らず」と言ってくれた。
…………まるでさっきの冷淡なオーラは無く、別人みたい。