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ちらりと陽次郎さんを見ると、目が合ってにこりと笑ってくれた。
………さっきまでの陽次郎さんは何だったんだろう?
「…友人が、…その子、通寺愛里(ミチデラアイリ)って言うんですけど、その子が…夜中に、女の人の生首を見たって言うんです」
興味をそそられたのか、陽次郎さんは少し睫を伏せてふぅん、と呟いた。
私は愛里がそれを私に打ち明けたときを思い出しながら話を進めた。
「夜中に目が冴えて、仕方なく本でも読もうかとしたとき、かたかたかた、って笑い声がして…」
「…かたかたかた、ね…」
「そしたら女の人の首が宙に浮かんで…血まみれのまま、笑ってたって…」
愛里は私にそれを話したとき、顔を真っ青にしてがたがた震えていた。
元々私と同じであまりホラーものが得意でない愛里だから、きっと余計怖かっただろう。
目にいっぱい涙を溜めて話す愛里を思い出して、胸がグッと痛んだ。
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