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目が覚めると真っ暗だった。
夜明けは未だに遠いらしい。家の中も外も、灯り一つ灯っていなかった。
誰か起きていないだろうかと耳を清ますも、家族の誰もが寝てしまっているようで、物音は何も聞こえない。
(あー…寝れないや)
愛里はごろりと寝返りを打ち目を瞑ったが、再び寝入るには時間がかかりそうだった。
一度起きてしまったせいで、目が冴えて仕方ない。
(しょうがない…本でも読もう)
寝るのを諦めて、とりあえず体を起こそうと布団に手をついた。
からからからから。
何かの笑う声がした。ぞくり、と、体中が粟立つ感触。
異様な声だ。乾いた、狂ったような笑い声だった。
明らかにおかしい。家族は既に寝ているはずだ。ここは二階だから、階段を上がってくるならば階段が軋んだりするはずだし、下から来たでないとしても、何かしら物音がするはずだ。
しかし、声以外は何も聞こえなかった。
声は明らかに、室内から聞こえたに違いないのに。
からからからからから。
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