第一夜

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この古い屋敷は、とてもそんな雰囲気だった。 周りは下町のような感じの建物ばかりだし、和風なのは合ってるから良いのだが、こんなに無法地帯な場所だと、怖い。 …店主が妖怪だったりして。 …怖い想像はやめておこう。 …入るべきか、入らざるべきか。 …正直、危険な気がする。 近寄りたくないな。そう思ったけれど、よぎったのは友人の切なる声。 『蒼月、助けて…!』 唇を噛み締め意を決心して、屋敷の敷地に足を踏み入れた。 …とうとう来てしまった。 外開きだけど、昔の和風なテイスト(悪くいえば古い)な大きい玄関の前まで来てしまった私は、まだ少し躊躇っていた。 (だって、怖いんだもん!!!) 心霊とか、妖怪とかあんまり得意でない私としては、なるべく関わりたくない場所なのだけど。 (…ええい!!仕方ない!) 頑張れ自分!と鞭を打ち、チャイムを鳴らそうとしたその時。 『どうぞ。』
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