第一夜

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男の人の声がした。 多分私今、飛び上がったと思う。10cmくらい。 だってまさに予知したかのようにドアフォンの声がして。 しかも突然―………って。 『ドアフォン』?? ドアフォンなんて、無い。玄関の周りどこを見ても、そんなもの無い。 じゃあどこから声が―… 『さぁ、お入り下さい?』 鍵は開いてますから。 とその声は続けた。 …やはり店主が妖怪だったのだろうか。 それとも何かの手品だろうか。 …!そうか分かった、ドアの向こうにいるのか! なぁんだそっか!と安堵して、「お邪魔します!」と明るく言って冷たいドアノブを握り締めた。 『真っ直ぐ行って突き当たりです。』 また声がした。 …え?案内してくれるんじゃないの? ドアノブを捻って扉を開くと、そこには。 広い広い廊下があった。古い外装とは変わって、中は広く天井も高くて、絵とかかけてあったりして、綺麗だった。 だがしかし。 ………………いない。 人なんて、どこにも。 ドアの向こうで喋ってたんじゃ、ない。 「―!!!!!」
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