第一夜

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「あ、帰らないで!」 今まさに回れ右をして帰ろうとしたその瞬間、私の後ろ(つまり私は回れ右をしてしまったから先程の状態からすると前)から、男の人の声がした。 思わず走り出そうとして準備した足を止めてしまった。 「よくいらっしゃるんですよね、ドアフォン無いと勘違いされて、驚いて帰っていってしまうお客様。 実はちゃんとあるんですよー。見付けにくい変なとこにあるだけで。」 朗らかな感じの、優しい声だった。 それにつられて思わず振り返ると、いつの間に現れたのかにこりと笑んだ男性が立っていた。
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