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電話では仕事が忙しいと言っているらしいが、一週間は少し長すぎる。
更に、空はまだ自分の能力も分かっていない為か、不安が募る。
だが日常は過ぎる。
何事も無いように、周りは時を過ごす。
だが、自分は違う。
常にビクビクし、辺りを警戒して生きていた。
能力が分からない今、まさに自分はご馳走キャラ以外の何者でも無い。
「どうした空? 珍しいな、朝から目が覚めてるなんて……何かあったのか?」
洸は緊張で目が覚めている空を不思議そうに見て言う。
「何言ってんの! 遂に私の指導が実を結んだのよ!」
司は威張る様に高らかに宣言する。
「ああ、そうだな」
空は適当に合い槌を打つ。
「あ、空返事」
「ナニィ!」
今日も司の必殺技の一つ、プロレス技のブリッジとバックドロップを喰らいつつも、学校へ生きて登校した。
変わらない日常。
だが。
それは簡単に、そして早々に崩れた。
帰り道、空が出会った一人の少年によって。
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