第一章

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痛い……痛い……死ぬ……痛い……痛い……痛い……死ぬ……痛い、死ぬ……痛い痛い痛い! 空は心で絶叫する。 死ぬんだ……僕はここで……。 痛みが、感覚がなくなっていく。 遠くからなのか、聞きにくい声が聞こえる。 空は、悟る。 ここが天国かと。 空は、寝起きの様にゆっくりと目を開けた。 だが、そこは天国などでは無かった。 「大丈夫かい? 君」 目の前には見知らぬ青年が、心配そうな顔で立っていた。 空はその状況に混乱する。 「え……どうゆう、こと?」 「それはこっちが聞きたいよ。ちょっと近くのコンビニに買い物に出掛けたら、人が血溜まりの中に倒れているんだから……怪我は無さそうだけど」 青年の最後の一言で、空は目を丸くする。 「そんなバカな……」空は鎌が刺さった筈の傷口に触れる。 なんとも無い。 怪我なんて、全くない。 空が呆然としていると、青年が安堵の顔で携帯を取り出す。 「とにかく、死んでなくてよかった……じゃあ僕は行くけど……大丈夫? 救急車でも呼ぼうか?」 青年が空に問いかけた。 空は大丈夫だ、と頷く。 「そうかい……じゃあ、気をつけて」 青年は去った。 「何か……狐に摘まれた気分だ……」 空はそのまま、その場を後にし帰宅する。 その後は、血だらけの制服を母さんに咎められ、妹になじられただけで一日が終わる。 何度も傷口に触るが、何処も痛まない。 夢と思いたかったが、あの血溜まりと同い年の筈の少年の、あの冷淡な声が脳裏に焼き付いている。 その時はまだ、分からなかった。 自分の、能力を……。
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