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それは、休みの日、近所の公園にいた。
それが目の前に現れた時、空はこの上なく神と言うものを呪った。
もしかすると、このまままた平穏が戻って来るのではないか? 自分はあいつに殺されたのだから。
と思えてきた矢先、その幻想を打ち砕く者が目の前に現れたのだから。
今は相手に聞かなくても分かる、目の前にいるのが……あいつと、片桐と同類だと。
「やあ……こんにちは」
そいつは、空に挨拶し始めた。
「そんなに警戒しないで……ただ、最低限の自己紹介をしようと思っただけさ」
そいつは微笑みながら、優しい声で言う。
だが、言葉の裏を返せば『戦おう』と言っているのも同然である。
「警戒してるね、じゃあ私から自己紹介するか……私は梅沢 大、三十七歳、この辺りに住んでるしがないサラリーマンさ」
梅沢は頭を下げる。
ボサボサの黒髪と平凡な顔つき、くたびれたスーツが目に着く、まさに普通といった感じである。
「ほら、早く君も」
梅沢は空の自己紹介を促す。
空はしぶしぶと自己紹介する。
「結城 空、高校二年生」
空は早口に答えた。
「ふむ、苗字が結城で下が空か……いい、いい名前じゃないか、少し羨ましいよ」
梅沢は笑って空の名前を誉める。
「さて……自己紹介も終わった所で」
梅沢が一歩、空に向かって踏み出す。
「始めようか、戦いを……〈Ⅹ・ヒューマン〉?」
そうゆうと、梅沢の額と両手の甲に“Α”と浮かび上がる。
思えば、これが空にとっての、ちゃんと戦えた最初の戦い……。
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