プロローグ

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午前7時半。前もって設定された時刻が来た事を知らせる為、携帯が流行りの音楽をアラームとして鳴らす。 「ふぁ……朝か……眠っ!」 アラームの音で目が覚める、一人の少年。 「あー……もう少しだけ、寝ちゃうかな?」 少年は布団に潜り、また眠ろうと目をつむる。 すると、誰かが階段を掛け上がる音が響いて来た。 その音は、少年の部屋の前で急停止する。 同時、避難警報を思わせる大きな声が部屋に轟く。 「兄ちゃーん! 起っきろー!」 少年の事をお兄ちゃんと呼びながら、少年の寝ている部屋のドアを少年より幼い、中学生くらいであろうか。長い髪をツインテールにしている可愛いらしい少女が勢い良くドアを開けた。 「起きろ起きろ起きろー!」 少女は少年を力の限り揺らす。 「止めろ優子! 今起きるよ……」 そう言って、少年は観念した様に布団から起き上がる。 寝癖が多い頭、眠そうな目付き。全体的に平凡な少年、《結城 空》の朝はいつもこんな感じで始まる。
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