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(後抑えればいいんだから、いいだろう)
『6番。サード岡本くん』
(もう8回だ。いちいちバントなんてしないだろう)
「おぉおお!」
案の定、打ち気だ。
瀧澤貴一の雑誌でのインタビュー。
自分を速球派と変化球派で例えるなら、どちらかと聞かれたとき、こう答えた。
「いや~・・・・・わかりませんけど、来年の最後の夏には、両方と言い切りたいですねー」
バシィイン!!
『ットライク!バッターアウ!』
「ツーアウトー!」
岡本は、バットを叩きつけて、自分の不甲斐なさに怒っていた。
『7番。ピッチャー浦賀』
(こいつは、俺ら投手からしたら、まさに理想像。尊敬すべき投手だ)
『ボール』
(意外と球は見えてるな・・・・・ケッコー際どいとこだったけど)
土谷は、すかさずサインを送る。
(そんな、尊敬すべき人間が、自分の前に立ちふさがると、こんなにどうしようもない気持ちになるとは・・・・・・)
『ットライク!!』
(こいつ本当にタメか・・・・・?信じらんねぇ・・・・だけどさ)
今まで、ただ立ち尽くした浦賀の手に、力が込められる。
(こんな奴からヒット打ったら、一生自慢できるよな!)
ッギィン!!
食い込んできたシュートを、根元に当たりながらも、引っ張った。
内野を越え、ポテンヒットになるような当たり。
「走れ新庄!」
走りながら、浦賀が叫ぶ。
「菅原!」
「ぜってぇ捕る!」
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