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あの日、この教室で、私は先生に恋をした。
深い愛がこもった口づけに恋い焦がれたの。
そして、今…
先生の腕の中で、焦がれ続けた甘い口づけに酔いしれる。
幸せに満たされる。
こんな日が来るなんて、夢にも思わなかった。
離れていく唇を追うように、視線を上げた。
まだ夢見心地の私に、先生はくすりと漏らし、額にそっと自分のそれを添える。
そして、深い安堵の溜め息を吐いた。
「ずっと…こうしたかった」
目線だけを上げる私に、先生は甘い笑顔を投げ掛ける。
「離れてた2年間、気が気じゃなかった。箕島の気持ちが離れていくのは仕方ないと思えても…他の男の腕の中に居るなんて、考えただけで嫉妬した」
「…先せ…」
私の言葉を遮って、先生の骨張った細く長い指が唇を塞ぐ。
「もう…先生じゃない」
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