1.入学と再会と……?

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   朝。桜が散る道を歩き、俺は今日から通うことになる陽山(ヨウザン)高校の門をくぐった。  今日は入学式だ。真新しい制服は少し大きく、慣れないネクタイのせいでちょっと息苦しい。 「よぉし! 高校では絶対何かやるぞ!」  訂正。門をくぐったのは俺だけじゃない。俺達、だ。 「ってお前何かやるぞって全く意気込みになってねぇよ……」 「気にするな! さぁて何をしようか……ぐへへ……」 「……愛理、頼む」 「はいはーい」  俺がそう言うと、そいつは持っていたカバンを構えた。  そして……  バアァンッ!! 「ぐはぁっ! 何すんだ愛理!」 「今のは真がやれって言ったから!」 「お前が変な声出すからだ聖!」  これが中学から続く、俺達の日常。  俺は鳥風真(トリカゼ シン)。  この女は梅山愛理(ウメヤマ アイリ)。自由な校風とは言え入学式に茶髪で来るのはどうかと思う。が、校則違反ではない。  そしてこの変態は梅山聖。聖と愛理、この2人は双子だ。  まぁ男と女だし、そこまで似てるってわけじゃないけど。  ただ見た目は似てなくとも、行動とかは似てる所がいくつもある。ようは2人ともちょっとおかしい。  そしてこの男の方の名前は『聖』と書いて『コウキ』と読む。  聖なんて上品な名前だが……残念ながら変態だ。ホントにザンネン。 「さぁて、俺のクラスは……」 「前の説明会で発表されたろ」  その上バカだ。ホントにザンネン。  因みに俺達は3人とも同じクラスだ。  1年間世話になる1-Cの教室に入っていくと、新品の綺麗な机が並べてあった。  
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