第二回 街で一番の番犬

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ある日他の犬と喧嘩になった。 散歩中に、明らかにおじいちゃんより大きな白い犬が走ってくる。 ん…? 縄がついてないぞ…? 脱走犯か…。 「下がってな、怪我するぞ」 なんて顔で私を見るおじいちゃん。 白い犬は真っすぐ走ってきて、おじいちゃんに飛び付いた! 「ガルルル!」 喧嘩になった二人を必死に引き離そうとするけど、私一人じゃどうしようもない。 「○○ちゃ~ん!」 そこに白い犬の飼い主と思われるおばさんが走ってきた。 やっとのことで引き離した。 「なんだよまったく…散歩の邪魔しやがって…」 そう言わんばかりに、おじいちゃんは再び片足を上げて、おしっこし始めた。その時… 「あ…」 私が振り向いた時にはもう遅かった。 なんとおばさんの手を離れた白犬がおじいちゃんに飛びかかった! おしっこして油断してたおじいちゃんは倒されてしまった! 「キャンキャン!」 おじいちゃんは甲高い声で鳴いた。 私は慌てて連れて帰った。 歩けるようだけど、帰ったらすぐに毛布に横になってしまった。いつもなら、帰ったら一番にお皿の確認に行くのに…。 足をくじいたのかな? 一晩様子を見ることにした。 翌朝、散歩に行こうとしても、なかなか外に出ない。引っ張っても二三歩歩くとへたばる。 仕方なしに帰ってきてご飯をやっても全く食べず…。 「おかしい!」 私はおじいちゃんを抱えて獣医さんに連れて行った。 「あ~貧血ですね。負けたことがショックだったみたいですね~。」 獣医さんは言った。 外傷も骨折もなし。何が原因かって、精神的ショック!? ステロイドを注射して、点滴を一本してもらい帰ると、ご飯をちゃんと平らげたおじいちゃん。 人騒がせなおじいちゃんでした。
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