然し、この館。 外見からして、なかなか立派だったが。 中に入ると、やはり立派だと再実感が出来る。
先ずは、百人ぐらいで一斉にダンスパーティーでも開けそうな程に、とても広い広間が見える。 入り口から対岸の壁や、左右の壁まで歩くだけでも、十歩・・二十歩・・三十、いやいやもっと歩く必要と成るだろう。
また、この広間の中央には、人が3・4人くらい内側に就ける広さの、サークルカウンターが在るだけ。 他に目立った物は、右手の奥に在る。 二階へ行く為の‘くの字’階段が見える程度。
だが、窓側と成る通りに面した壁以外。 奥と左右の壁に向かって、様々な姿をした冒険者達が、食い入るように向いている。
実は、この広間の壁には、冒険者に依頼された数々の雑務や仕事が、張り紙として掲示されている訳だ。
依頼の量が多い場合には、広間の空いたスペースに、〔掲示板〕なる仮置きの募集板まで出される。
その、今に来ている依頼の中でも、一般の駆け出しに解放されている簡単な物では、
‘農作業の手伝いを数日’
とか。
ちょっと面倒な仕事では、
‘迷い犬の捜索、求む’
なども在る。
冒険者の数を見渡したポリアは、昨日より格段に多いと感じて。
「あら、今日は面子が多いわね」
と、再度館内を見回した。
ざっと、見積もって。 館内にて仕事を探している冒険者達は、4・50人程居る。 普段は、平和なこの国なので、20人くらいしか居ない。
だが、依頼を見ている者を見る限り。 新米の冒険者や、他所から渡って来たらしき、これまでに見かけない冒険者達がチラホラ。
「イルガ。 どうやら、ライバルが増えたみたいね~」
「ですな」
またまた、大変な事に成ったと、苦笑し合った二人。
リーダーで在るポリアが先頭になって、中央のサークルカウンターに向かった。
近付いた円卓の内側には、立って館内を見回す男と。 たった今、チェアーにどっかりと座った、固太りの中年大男が居る。
冒険者達を見回して居るのは、背の高い30歳くらいのバンダナを巻いた男性で。
一方の座った中年の大男は、薄い赤の上着に、茶色のズボンを穿いていた。
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