第一部:その男、伝説に消えた者

255/258
前へ
/619ページ
次へ
然し、Kの態度はサバサバしている。 「はっ、生きてりゃ人も変わるさ。 お前だって、過去の一件で強気に出なかったのは、不幸にしたい訳じゃ~ないからだろう? ただ、運が悪かったのさ…」 二人の語り合う姿が、少し侘しいモノになった。 その様子を、ポリア達は確かに見た。 何故か、俯いたジョイスが。 「うん・・・。 コレ、預かるね」 「あぁ、早く処理しちまいな。 遅々としてたら、ラキームの親父が死ぬぞ。 息子の取り返しが付かない不祥事だ。 下手すると、処理する前に事がバレる。 お前が早急に動けば、王の心の痛みも少なくて済むんじゃ~ないか?」 Kの指摘を受けるジョイスは、 “やはり適わない” と、ばかりに笑い。 「はいはい、流石な読みですよ~。 リーダーは、頭がイイ」 然し、此処で止せばいいのに。 Kは、そんな下手に出るジョイスを睨むと。 「こんな事は、本来は国が遣る事だ。 お前が、頭悪いんだ」 「クぅ~、リーダーには一生勝てないなぁ」 「アホか。 お前に負ける様なら、もう墓に入るしか無いゼ」 「うわ。 酷い言い方だな~」 こんな感じにて、二人の下らない言い合いが始まった。 この時、ポリアは聴きたい事がジョイスに在り。 「あの・・」 と、声掛けるのだが…。 ジョイスとKは、またどうでもイイ様な言い合いを始め。 「大体、お前って奴はなぁ~…」 「いや、りぃ~だ~はさぁ・・」 その遣り取りの最中だが、ポリアはどうしても聞きたいので。 「すいませんが・・」 だが、二人の掛け合いは、益々エスカレート。 何度も声を掛けるのに、全く入る余地が無い二人の話し合い。 次第にイライラっとしたポリアは、遂に本気になって。 「ちょっとっ!!!!」 と、勢い良く机を叩いた。 その瞬間、Kとジョイスが止まって。 「あ」 「え?」 同時に、周りの壁や塔が、グラグラと揺れ動いた。
/619ページ

最初のコメントを投稿しよう!