第一部:その男、伝説に消えた者

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さて、廊下に向かうと、‘物の壁’の影響で暗く成っていたが。 外に出れば、既に夕方になっていて。 空模様は、薄暗い雨雲が一面を支配している。 ジョイスも、ラキームの事を政務官と話し合う為。 K達と一緒に外へ出た。 Kは、馬蹄の音が絶えずしていると、この屋敷の前方に振り返る。 すると、屋敷の前方で。 道を挟んだ向かいが、王国の馬車が止めてある駐車場だった。 あの紅い馬車は、ジョイス専用車らしい。 「お前、便利な立地の屋敷を借りたな~」 現状を知るKは、ジョイスの屋敷の乱れる原因は、この直ぐに出掛けられる立地の良さと知る。 「うん。 思い立ったら直ぐに、本を買いに行ける様にして貰った」 ジョイスが、すんなり認めて言うなり。 「おいおい、それはもう‘私的流用’じゃね~か」 Kの指摘に、ポリア達の方がまたジョイスに呆れた。 さて、此処から歩くと、商業地域までは遠いと思い。 ポリア達を馬車に乗せて、街の中心部まで送るように計らってくれたジョイス。 処が、馬車に乗る前。 マルヴェリータは、ジョイスに近付いて。 「ジョイス様、一つ・・・お伺いしてもよろしいですか?」 「ん? なんだい?」 マルヴェリータは、一瞬躊躇うように下を向いてから。 「私・・・魔術師として、仲間を助ける知識を持ちません。 たまにお伺いして、色んなお話を聞かせて頂けませんか? 今回の依頼の中で、Kを見て・・・そう思ったんです」 ジョイスは、マルヴェリータの後ろに立つ。 最後に残るKを見た。 見られたKは、もう暗い空を眺めて居ながらに。 「ジョイス、真面目な話。 このお嬢さんは、魔術師としての普通の知識すら薄い。 その実態は、魔術師になる目的が、普通の皆と違っているからだ。 ぶっちゃけると、学院を卒業し立ての駆け出しと、寸分も変わらない。 ・・・、いや。 一部の知識に関しては、それ以下だぞ」 Kの話を聴いてジョイスは、美女マルヴェリータをまじまじと見ると。 「リーダーの指摘は、常に正しい。 そうゆう事ならば、何時でも訪ねて来ていいよ。 もし、冒険や仕事で手に余るような事や、知らない事には知識を貸してあげよう」 その返事を貰うマルヴェリータは、ホッとしたように笑った。 「ありがとうございます」
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